第六章  成功の法則
  あなたが望むすばらしい人生の実現を、一体誰が保証してくれるだろうか。 また、すばらしい人生を実現しようという強い決心ができるように、自分を変えるには、どうしたらいいのだろうか。
  特別な法則でもあって、それに従ってやっていけば、夢が実現するのだろうか。
  そうだ。その法則は実際に我々の人間社会に存在するのである。それは、あなたの人生をより豊かにする、成功の法則である。 人間社会にある成功の法則とは、どのようなものだろう。この法則は、人間の歴史の中で形成されてきたもので、根本的なものである。
  この成功の法則は、ごく平凡な人にも理解できる基本的な内容のものである。この法則によって、あなたが経済的、あるいは精神的に豊かになれるかどうかが決定するのである。
  この法則は二つの理由で学ばなければならない。まず第一の理由は、白分自身を護るためである。物事について理解していないということは、あなたにとって大きな損失になってしまう。 知らないということは、どんな状況であろうと、あなたにとってマイナスである。すなわち、それは貧困・失敗の原因にもなるのである。 この「成功の法則」は当然、すべての人が知っていなければならない。なぜならば、もしもあなたが「成功の法則」を知らなかったとしても、その結果から逃げ出すことはできない。 だから、あなた自身をあなたが護るためには、人間社会の「成功の法則」を知ってお
かなければならない。それを知らなければ、あなた自身が大損をするのだ。だから、「成功の法則」をあなたが好むか、好まぬかということは関係なしに、それがどういうものかを良く知り、それに従って行動しなければならない。 議論の余地はあるだろうが。あなたがみすみす失敗することは、さけなければならない。
  「成功の法則」を知っていなければならない第二の理由は、あなたがこの法則を利用するためである。 この章で学ぶ「成功の法則」を有効に利用すれば、あなたの人生は精神的、物質的に確実に豊かに向上していくのである。 人生には、プラス面もあればマイナス面もある。しかし、物事をうまく、展開させたいのなら、プラス面のみをつかむように、意識的に努力し、行動することである。 そこから、あなたのすばらしい人生がスタートするのである。
  では、「成功の法則」について詳しく学ぶことにしよう。
  この「成功の法則」は、最も基本的な白然の法則、即ち、原因と結果の法則にのっとっているのである。 その法則とは、自分が提供したものに対しては、必ずそれにみあうものが返ってくるという事である。
  この法則は、大変簡単なものであるが、どんなに時代が変わろうとも不変のものなのだ。 この原因と結果の法則を理解し、身につけることによって、大金持ちになる方法も簡単に見つけることができるのだ。この原因と結果の法則をあなたが本当に生かすために学ばなければならない二つの段階がある。
  まず第一の段階は、どのような物でも「使わなかった。」という原因に対して、必然的に起こる結果は「退化してしまう。」あるいは「なくなる。」ということだ。常に使うということが、大切なことなのである。 このことは、人間の能力すべてについて、あるいは自然のすべての物事についても言えることだ。使わないという原因に対して起こる結果は、身体が弱る。意欲が衰える。勇気がなくなる。信念がゆらぐ。 感情が消える。知識が減る。これでは成功は絶対にありえないのである。あなたのエネルギーを蓄えて、来年まで保存しておくという訳にはいかない。 それは今日という日の24時問を来年使おうというのと同じことなのだ。今日という日を今日使わなかったという原因は、今日を永遠になくす結果をまねくのである。 自分の持っている物は全部使いきるのだ。また自分の持っている物が、適切に使われているか、いつも確認することだ。 自分の能力、体力、信念、勇気、すべてをいつもフルに使うように心掛けることだ。そうしなければ、すべては衰え、弱り、消えていくのである。 あなたは気に入らないかもしれないが、使わないという原因がなくなるという結果を生むのが、成功の法則なのだ。 成功の法則を好きになる必要は特にないが、それを知って身につけておくことは、大変大切なのである。そうすれば、決して自分の物を失うことはないのだ。 だから、物は使わなければなくなるという、基本的な「成功の法則」すなわち「原因と結果の法則」を知っていなければならない。   そして、この「原因と結果の法則」をあなたが生かすために学ばなければならない第二の段階は、原因からできたものだけが結果として手に入るということだ。 人間は白分の人生の種を蒔く。たくさん蒔かなければ、収穫も少ない。収穫が少ないといって文句を言ってもどうにも仕方がない。 なぜならば、その種を蒔いたのは、あなた自身なのである。多くの人々がこんな簡単なことを理解していないのである。自分が原因なのに、自分以外の人のせいにする人が多い。 自分が貧しいからといって政府のせい、税金や物価が高いせい、親戚のせいにする。とにかく、なんでも白分以外の人のせいにする人が多いが、これでは絶対に成功者になれない。
  わかりやすい例をあげよう。あなたが広大な農地をもっているとしよう。何人かの小作人にその農地を任せている。秋の刈り入れの時期に、あなたは作業の進み具合を見に、その農地に出かけていく。 ところが、その農地のほとんどに雑草が生え、刈り入れはおろか、作物など実ってはいないのである。 あなたは小作人を呼びつけ叱りつける。「一体、何をやっていたんだ。こんな状態でどうやって来年まで生活するのだ。」しかし、どうだろう。 一体だれが種を蒔いたのだろうか。よく自分自身に問うてみるがいい。そうだ。あなた自身なのだ。直接的であれ、間接的であれ、地主はあなたであるから、あなたが蒔いたことになるのだ。 すなわち、あなたが小作人に任せた以上、最終的責任はあなたが取らねばなら
ない。この「原因と結果の法則」は、プラスの面、マイナスの面に関係なく働くのである。 すなわち、悪い結果になるということは、悪いことが原因であり、良い結果になるということは、良いことが原因なのである。 例えば、しぶ柿の種を蒔いて、甘い柿の実を収穫することはできない。また、もちろんこの法則は、いい方にも適用されるから、甘い柿の実の種を蒔けば、絶対にしぶ柿などできる訳がない。 これも「原因と結果の法則」の一つである。
  重要なことがもう一つある。それは蒔いたものよりも、多くの収穫が期待できるということである。 例えば、100つぶの籾を蒔いて100つぶの米しか実らないのならば、すべての努力が無意味になり、籾を蒔く理由は何一つないのである。 しかし、実際は100つぶの籾は、何十倍もの米を実らせるのである。すばらしいことではないか。
  この法則を応用することによって、だれでも金持ちになれるのである。 ところが、実際には金持ちが少ないのは一体なぜだろう。それは「原因と結果の法則」を知っていても、種を蒔かないからである。どんなに知識をたくさん持っていても、それを行動に移さない限り、何の収穫もないのである。 だから貧乏人の仲間入りをしたくなければ、少しづつ、この「成功の法則」を確実に実行することである。自分の人生を向上させるには、この「成功の法則」を学び、実行しなければならない。 しかし残念ながら、種を蒔く必要がある人ぽど、種を蒔く必要性に気が付いていないのだ。とにかく、
春に種を蒔いておかなければ、秋になってたくさんの収穫を期待しても、無理な話なのだ。 ところが、こう言う人がいる。「私はたった1OOつぶの籾しか持っていない。もしこれを蒔いてしまえば、もう何も残っていない。 もし秋に台風でも来たらどうしよう。」もちろん、そういう可能性も全くないとは言えないのである。
  しかし、あなたが100つぶの籾を蒔く決心をしなければ、それを何十倍にも増やすチャンスは全くないのだ。 いずれにしても、わずかな米はすぐなくなり、他人の世話になるしかないのである。それが嫌だというのなら、すぐにその籾を蒔いて、増やす努力をしなければならない。
  すなわち、あと5万円しかないという貧しい人こそ、その最後のお金を投資して増やすことを考えることが重要である。5万円をじっと持っていても、それがいつまでも続くことはない。 このことを肝に命じておかねばならない。確かに、最後のわずかな米を全部蒔く事はつらい。しかし、ここで理性が感情に負けては、あなたを生かす最後のチャンスをも失うのだ。 くり返し言うが、一番蒔きたがらない人こそ、本当に種を蒔く必要がある人なのだ。
  だから、金持ちは益々金が増え、貧乏人はいつまでたっても貧乏人のままなのだ。 この自然の法則には、決して逆らえないのである。人間はこの法則には、どのようなことをしても勝てないのだ。
  また、法則に従ってやるときに、小さくやってみては、もちろん、
たいした結果も期待できない。これでは、同じことの繰り返しで人生が過ぎ去り、いつまで経っても、生活は良くはならない。 「いつだって秋になれば、収穫を得ることができるから、今年は蒔かずに、来年になって気が向いたら蒔こうかな。」このように蒔かずに収穫ばかりを期待するのは、金を賭けずに、賭けたつもりで、競馬を見るのと同じことだ。 自分のお金を購けるだけの勇気がないから、頭の中でお金を賭ける。これならば損することはない。そのかわり、あなたが購けた馬が何回勝っても、お金は全く入ってこないのである。 頭の中だけに蒔いても、本当に種を蒔いたことにはならない。それは、ただ時間の浪費にしかすぎないのである。あなたが蒔くことのできる種はたくさんあるはずだ。 自分の目標リストから、最高のものを選び、実行してみることだ。1日でも、ぼんやり過ごせば、種を蒔く時期を失ってしまう。しかし、種を蒔いて、すぐに収穫することはできない。
  原因がすぐに大きな結果をもたらすと考えるのは間違いである。植物でも、水をやり、雑草を抜き、害虫駆除をして、よく世話をすることで立派に育つのである。 こうして秋にはたくさんの収穫が期待できるのだ。一度収穫が増えたなら、それがきっかけとなり、あとは加速度がついたように伸びてゆくものだ。 自分を向上させるには、いつも夢を持ち続けることである。
  障害は必ずやってくるものだ。しかし自然は、必ず最後には、あなたの努力に味方するのである。
  あなたは、あなたの望む人生を築く権利と資格を持っているのだ。 では人間社会の「成功の法則」すなわち、「原因と結果の法則」を利用するには、一体どうすればいいのか。
  第一に、1日、1週間、1ケ月、1年、3年、5年、10年、そして一生の目標を設定せよ。 あなたの人生が成功の人生となるには、明確な日標と強い行動力が必要である。目標を設定するときに重要なことは、あなたが過去にうまくやれたことを思い出し、その成功を何十倍にもすることを考えることだ。 目標は、あなたの意欲に火をつけ、あなたを行動にかりたてるような大きいものでなければ、あなたは成功することもできない。目標設定のポイントは、いつも自分の能力より少し高いところに設定することだ。 少し高いところとは、すなわち、目的の2倍の目標ということなのである。そうしておけば、目標が達成しないことがあっても、いつも目的が果せるのだ。 こうして白分の能力の限界を上げていくのだ。いつも、今から先をすばらしくするための、努力をおこたらな いことである。目標が高過ぎると言って、心配する必要はない。 始めは恐ろしくなるかも知れない。また、成功するまでには、何回もつまづき、倒れるかも知れない。しかし、倒れるたびに起き上がり、とにかく前進するのだ。あなたは芋虫なんかではない。 人間なのだ。だから倒れても仕方がないのである。倒れないことよりも、倒れても倒れても、起き上がり続ける努力が尊いのである。 だから何度つまづいても、どこまでも前へ進み、目標に到達するのだ。
  その目標に向かって進み出せば、あなたは、あなたの持つあらゆる能力を生かし、成功の山に登ることができるようになる。 毎日、毎日、より高い所に到達するのだ。自分の過去をいつも乗り越えて行くのだ。
  成功の法則を応用する第二の方法は、あなたの目標を人に発表することだ。 本当にあなたに人間としての誇りがあれば、成し遂げると決めて、人に言ったことを途中で止めることは絶対にできなくなる。 もし失敗すれば、あなたは永遠に笑い物にされると思うから、白分に対するプライドからも、どうしても目標を達成しようと固く決心するのである。 自分に合った目標を定めたら、その目標に向かって、どう進むべきかを計画立ててみることだ。
  成功の法則を応用する第三の方法は、白分のすべての能力をフルに生かすことである。 多くの人々が、自分の能力をほとんど生かしていないのだ。 自分をよく知り、白分白身を最大限に活用するのだ。話の仕方、握手の仕方、感情も、才能も、考え方も、性格も、すべてフルに活用するのだ。 こうすることにより、あなたの大きな目標も実現するのである。
  成功の法則を応用する第四の方法は、他人にいろいろな投資をし、他人の力を借りる事である。 1日働いて1週間、2週間の効果をあげることができるように、人の力を借りるのである。白分の努力が何倍、何十倍と効果を生み、白分の価値もさらに向上させるようにすることだ。
  あなたが成長し、成功への秘訣を身につけ、精神的、物質的に豊かになってくると、あなたは多くの人々から成功者として、認められるようになってくる。 そうすると、その人たちが、あなたの知識、能力を授かりに来るようになる。種を蒔き、大きい収穫を得るための鍵となるのは、「人を助ける」ということである。 この人々にあなたの時問を費やし、あなたの能力、知識を投資するのだ。他の人々が成功するのを助けることによって、これが自分の富の源になるのである。ところが貧乏人はこう言うのだ。 「まわりの人々の責任まで白分が負って、めんどうを見るなんて損なことはできない。自分のことだけでも精一杯なのだ。 これ以上のことは、自分にはとてもできない。」
  この程度のことだから、いつまでも貧乏なのだ。白分の家族を養うことぐらい、あたり前のことであり、 だれにでもできるのだ。こんな人の生活には、生き生きとしたものがなく、挑戦というすばらしいものも見あたらない。 自分や家族のことだけしか考えられない人間は全て、敗北者である。すなわち、自分の生活だけを護ろうとすれば、結局は、その生活さえも失ってしまう。 本当に情けない人間になり下がってしまう。
  しかし、人並み以上の生命力と行動力により、他の人々を助け、地域社会に貢献する人は、本当に奉仕のできる人であり、豊かな人生を送ることができるのである。 成功者になろうと思うのならば、他人の役に立つための、効果的な方法を考えて、身につけ
る必要がある。 白分や家族を食わせていく程度のことは、犬だってできるのだ。
  人間の価値は、すなわち、どれだけたくさんの人々の夢の実現に貢献できるかということによって決まるのである。 偉大な人物になるための鍵は、他人の役に立つということなのだ。どんなにすばらしい才能を身につけても、あなたの手は2本、頭も1つ、1日も24時間しかないから、白分一人で活用しても、達成できる量も限られてくる。 しかし、あなたの才能を他人にも活用させると、どうなるであろうか。
  人間の仕事の価値とは、その人がどれだけの仕事を他人にさせることができるかによって、判断されるのである。 例えば、自分一人では、とてもできない位の収入を得る方法を、10人の人達に教えてやったとする。月に10万円の収入が入れば、恐らくその一人一人が、わ礼にと言って1万円位は持って来ることになるだろう。 他人に、あなたの時間とエネルギーを投資し、多くの人々にいろいろな方法を教え、少しずつ仕事をさせるのである。この方法を拡大することにより、10万円でも、あるいは100万円でも、 あなたのところに喜んで持ってくるようになるのである。あなたの才能、時間、知識を多くの人々に投資することができれば、その人達が成功するのを助けると同時に、あなたにも想像もつかないような、 大きな収穫を得ることができるようになるのである。このように他人にもチャンスを与えれば、その人達も幸せになり、あな
たに対して、いつまでも感謝の気持ちを持つようになるのだ。 他人に仕事をさせなければ、あなたは、あなた白身の能力で、あなたの24時間でできる範囲のことしか、成し遂げられないのである。 しかし、他人に仕事をさせることによって、大きい成功ははじめて可能になる。他人に投資することを学び、成功の秘訣を分かち合うことも学ばねばならない。
  人間には三通りの人生がある。食っていくだけの人生もあれば、家を一軒建てるだけの人生もある。しかし自分の才能を生かし、他人に投資して何百倍もの人生を築くこともできる。 人間は他の生き物とは違い、未来を自分自身で選ぶことができるのだ。自分の人生を何倍にでもできるように、未来を選ぶのだ。ただ生きているだけならば、人生は何の価値もないのである。 自分の経験や価値、幸福を何十倍、何百倍にするように努力せよ。
  「成功の法則」を利用する第五の方法は、今すぐ種を蒔くことだ。 種を蒔こうか、どうしようかと迷っている時間が過ぎれば、収穫の日はまちがいなく遠くなるのだ。 迷っていては、種蒔きの時期を見逃してしまう。多くの人々が「よし、30才までには、大きいことをやってやろう。」という決心をして20代を働きとおす。 しかし、30才になっても、大きいことはおろか、何もやれていない。結婚し、家族に約束する。「40才までには、絶対成功してみせる。」ところが、40才になっても、食っていくのが精一杯なのだ。 「50才までには300万預金しよう。」という決心で40代を必死に働く。
  しかし、50才になっても、預金どころか、いまだにローンの返済に追われる始末だ。
  「50才が最後のチャンスだ。60才までにはマイホームを建て、家族をハワイぐらいは連れて行かないと申し訳が立たない。」という決心で死にものぐるいで働き続けるが、もはや惰性で進んでいるに過ぎない。 ましてや、今までにできなかったことが、50代になってできるはずがないのだ。「ああ、おれももう還歴だ。60才になったか。60才だというのに相変らず借家住いだ。 あと20、いやあと10才若ければなあ。」で、一生を何もできずに終わるのである。白分のやりたいことが、やれなかった人生とは、なんとみじめなものだろう。 これでは生きる価値などないではないか。これもすべて、今日よりも明日こそは、明日こそはと、明日に期待をかけてきたからだ。成功の法則を応用するのは今だ。 今しかないのだ。多くの人々が「今」という言葉の本当の意味が分からず、種を蒔く時期を見逃している。このような人々が、あまりにも多過ぎるのである。 あなたは、このコースを学んだわかげで、このような気の毒な人々の仲問に加わる必要はなくなったのである。あなたの人生が精神的、物質的にも豊かなものになるように、このコースの極意を「今」応用するのだ。 夢の実現のために「今」すぐ実行するのだ。繰り返し言ってきたように、事態を変えるには、あなた自身を変えなければならないのだ。 だから、今までの悪い習慣をことごとく破り、あなた自身に対して厳しくするのだ。
  この成功の法則をよく知り、利用するように努力し、あなたの望む将来のために働くならば、この成功の法則は、必ずあなたを成功へと導いてくれるのである。
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